キャッシュフローの改善が見込める「iDeCo」のメリットとデメリットとは?
資産運用の方法として、不動産投資は大きな利益を生み出すことができる可能性を持っています。一方で物件選びに失敗したり、運用を他人任せにしていると満足な利益を得られないこともあります。
そこで、着実な資産形成の方法として、国が用意した制度であるiDeCo(個人型確定拠出年金)による資産運用を考える方もいるのではないでしょうか。
今回はiDeCoを知らない方でもここを読めば内容を把握できるように、その制度とどれくらいのメリットがあるのかについてお伝えしていきます。
毎月のキャッシュフローを改善して生活を楽にしたい、という方はぜひお読みください。
iDeCoの概要
iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)は個人が毎月定期的に資金を投資信託に積立投資して、60歳を過ぎたら引き出すことができる制度です。
定年退職後の生活を支える収入というと年金があります。しかし年金だけでは収入が不十分だと感じる方も多いでしょう。
つまりiDeCoは国民年金、厚生年金に続く第三の年金だと言えます。
特に厚生年金がないという個人事業主の方は、iDeCoで多くの金額を積みたてることができるので必須の制度とも言えるでしょう。
そして特に大きなメリットして、iDeCoに拠出した金額が非課税となる点が挙げられます。iDeCoは投資信託の一種であるため、確実に利益が出る保証は元本確保型商品を除けばありません。
しかし、非課税制度は確実に使えるのでiDeCoに拠出したお金は控除対象となります。
その結果納めた税金が一部返ってくるのです。そのためiDeCoに資金を拠出すれば節税効果を確実に見込むことができます。
iDeCoで投資を始めるには
iDeCoで投資を始めるには、証券会社に口座を開設する必要があります。
また初回口座開設時には 国民年金基金連合会の加入時手数料として2829円と毎月171円の手数料を支払う必要があります。
それ以外のコストとしては、証券会社により異なる口座維持手数料や、投資先によって異なる運用手数料があります。口座維持手数料は無料の証券会社もあるので、基本的に初回分の費用を除けば毎月の手数料はそれほどかかりません。
iDeCoの証券口座を開設する方法は、ネットから申し込む方法と、書類を郵送してもらい必要事項を記入して書類を返送する方法の2種類があります。証券会社によって異なるので、選んだ証券会社の申し込み方法を確認しておきましょう。
またiDeCoの証券口座開設を申し込んだ場合、「国民年金基金連合会」で加入資格の審査を受けることになります。その審査期間があるので、申し込んでから口座を開設するまで1~2カ月ほどかかるので注意しましょう。
証券会社に口座を開設し、毎月どれくらいの金額をiDeCoに積立投資していくのかを決めます。この金額は職業によって上限が異なります。
国民年金保険の加入状況 |
例 |
掛金の拠出額上限 |
第1号被保険者 |
自営業者など |
月額68,000円 |
第2号被保険者 |
企業型確定拠出年金がない会社員 |
月額23,000円 (年間276,000円) |
企業型確定拠出年金に加入済の会社員 |
月額20,000円 (年額240,000円) |
|
公務員など |
月額12,000円 (年額144,000円) |
|
第3号被保険者 |
専業主婦(夫)など |
月額23,000円 (年額276,000円) |
公務員の方は投資できる金額は小さく、個人事業主の方は大きな金額になってきます。
またiDeCoは拠出できる期間が22歳から60歳までと決まっています。
そのため21歳の方はiDeCoを利用できません。
iDeCoの投資対象は?
iDeCoで投資できる対象には、「投資信託」と「元本確保型商品」の2つがあります。
投資信託は一般的な投資信託と変わるものではなく、株式や債券、通貨などの投資信託を選んで投資できます。日本国内の投資対象だけではなく、アメリカなど海外の投資信託もあるので分散投資をしても良いでしょう。
元本確保型商品は「定期預金」や「保険」を運用します。
大きな収益は見込めませんが拠出した元金が保証されます。
また投資信託を選ぶ際には信託報酬がどれくらいかかるのかもチェックします。
主に投資信託はインデックス型とアクティブ型に分かれます。
インデックス型は日本株やアメリカ株などの投資対象の市場全体に投資するため、大きな値動きが起こりにくく市場の動向に沿って運用結果が変化します。また信託報酬も低めです。
アクティブ型は委託先の会社が独自に投資先や運用手法を選択し、高利回りを目指します。その結果運用結果は安定しませんが高収益が生まれることもあります。一方で信託報酬は高めです。
iDeCoのメリット
iDeCoには複数のメリットが有り、それを活用することで将来定年退職したときの備えにすることができます。
そのメリットをひとつひとつ見ていきましょう。
拠出金額が非課税になる
iDeCoの場合は拠出金額が所得控除できます。つまり会社員の場合、給与所得からiDeCoの購入金額を差し引くことで課税所得が下がり、所得税と住民税が少なくなるということです。
その金額は先に掲載した一覧表をご確認ください。
公務員の方の場合は拠出金額が年間144,000円であるため所得税の税率が20%だった場合。年間で生まれるキャッシュフローは住民税が約14,000円、所得税が29,000円、合計約43,000円とそれほど大きなものではありません。
一方で会社員の方の場合年間で276,000円拠出することができます。
その場合住民税は年間で約28,000円、所得税は56,000円、合計約84,000円のキャッシュフロー改善につながるため見逃せない大きな効果が得られるといえます。
個人事業主の方の場合は年間で80万円以上拠出できるので節税効果も20万円以上になります。これはとても大きな数字と言えるでしょう。
またiDeCoは年金なので60歳以上になったときに受け取る場合は課税されますが、一定額が控除対象となります。
年金として受け取る場合は「公的年金等控除」、一時金の場合は「退職所得控除」という控除制度を利用できます。
仮に一時金として一括で受け取る場合、運用期間が20年以下なら40万円×運用年数を控除できるので受け取る際の税金をかなり小さくすることも可能です。
運用益が非課税になる
iDeCoで運用して得た利益は非課税となります。例えば株式投資で得た運用益は約20%の税金がかかりま。しかし、iDeCoの運用益は税金がかからないので手取りが増えます。
他の投資手法で得た利益よりもiDeCoは得だと言えるでしょう。
元本確保型商品に投資できる
iDeCoは投資信託以外も元本確保型商品にも投資可能です。元本確保型商品は銀行預金など利回りは非常に低いものの、元本が保証されているため確実に資産を増やせる投資先となっています。手堅い資産運用先を求めている方に向いています。
iDeCoのデメリット
idecoにもいくつかのデメリットがあります。資産運用先として研究する時にはしっかりとデメリットも知っておくと良いでしょう。
自由に解約して出金できない
iDeCoは年金制度なので、60歳以降の年金受給年齢までは資金の引き出しはできません。
そのかわり、iDeCoは掛金拠出の停止や再開が可能です。掛金額も年に1回であれば変更できるので、出費が厳しい場合には拠出を一旦停止したうえで掛金額を引き下げることが可能です。そのうえで再開すれば、再び毎月の拠出ができるようになります。
またiDeCoは毎月の拠出を停止することはできますが、解約して出金することは基本的にできません。例外としては本人が死亡するか、あるいは高度障がい者となり障がい給付金として受け取る場合には解約できます。
1年間に拠出できる金額に制限がある
iDeCoには先に上げたように、職種によって毎月拠出できる金額に制限が設けられています。公務員の方は年間156,000円までに拠出となるのでiDeCoはそれほど大きな節税効果が得られないということは知っておきましょう。
まとめ
iDeCoは毎月一定額を拒否して運用し60歳を過ぎた時に個人年金として受け取ることができる資産運用のスタイルです。60歳まで引き出すことができないデメリットはありますが、一方で拠出したお金は控除対象となるため所得税・住民税が安くなるというメリットもあります。
このメリットは拠出を始めた時点から享受できるものであり、将来のキャッシュフローの余裕だけではなく、現在のキャッシュフローの余裕を生むことができます。
特に、「投資の利益」の税金がなくなるのではなく「投資に回したお金」の分税金が安くなるというのは他の投資手法にはなかなか見られないiDeCoならではのメリットです。
是非ともiDeCoをうまく活用して物価高への対抗手段とされてみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただきどうもありがとうございました。