地中海の小さな町から、こんにちは。ガイアフィールドの、一番遠隔地からのリモート社員・森口と申します。
今年も、日本・欧州の不動産事情やトレンドなども交えた、ガイアフィールドならではのオリジナルな情報をお届けします。
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タワマンで大丈夫?高層住宅と低層住宅のメリット・デメリット
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「所変われば」と言いますが、私が欧州に住み始めてから、日本との違いをさまざまな場面で感じてきました。
例えば、日常の食事や仕事などの細かいことはもちろんですが、日本では当たり前のことがこちらではそうでなかったり、
日本で良しとされてきたことが、こちらではそうでなかったり……と、戸惑うことは今も多々あります
もちろん、それぞれの背景や文化的・歴史的な理由から今に至っているため、どちらが良い・悪いと単純に
判断できないことも多いでしょう。
さて、私が興味をもって観察してきた建築関連のことでも、同じような違いを感じます。
例えば、東京の都心ではタワーマンションが増えていますが、スペインではマドリッドやバルセロナなどの大都市でも、
日本のような高層のタワーマンションはあまり多くはない印象です。
今回は、日本と欧州の差を感じた高層住宅・低層住宅についての私見と、近年ひそかに問題となっている
「高層階症候群」についてお話ししてみたいと思います。
■ 日本のマンションは、高層階ほど値段が高いのはなぜ?
日本のマンションは、高層階ほど値段が高いのが一般的です。これには、眺望や設備の豪華さのほかに、
マーケティング的な要素や、高層階が与える「心理的な要素」も影響していると言えるでしょう。
特に、高いところに住むという高揚感は、日本の高層マンションの需要と供給の両面においてもかなり
作用しているようで、売買に関する査定時にも影響を与えているようです。
ちなみに、こうした高層マンションの上層階の値段が高いのは日本だけではなく、アメリカやアジア圏の
大都市などでも共通して言えることです。
例えば、アメリカで「ペントハウス」と呼ばれる高層ビル最上階のフロアは、眺望や設備の豪華さなどから、
どこでも高額です。ニューヨークのセントラルパーク沿いにある高層マンションのペントハウスは、約360億円(!?)
という値段で、最近売りに出されているそうです。

<N.Y.のセントラルパーク沿いには、お値段ビックリなペントハウスが!>
また、シンガポールや上海などの高層マンションでは、眺望やステイタス感だけでなく、上層階のほうが地上の騒音や
排気ガスの影響が軽減されるという理由から高い需要が集まり、「高層階ほど高額」という結果になっているようです。
■ 欧州では、低層階の方が安い場合もある
一方の欧州はどうかというと、実はそれほど高層住宅がもてはやされているわけではありません。
前述したように、スペインのバルセロナやマドリッドにも高層マンションはありますが、
日本ほどタワーマンションが林立している状態ではないようです。
どちらかというと、欧州の古い都市部の街並みの影響もあり、旧市街地では18世紀ごろから変わらない5~6階建て、
新しく建設された都市部でも高くて10数階建て前後のものが多い印象です。

<パリ中心部。エッフェル塔は高いけど、周囲の建物は意外に高くない>
特に、100年以上経った石造りの建物でもまだまだ現役のものが多い欧州の旧市街部では、表面だけが昔のままで、
内部や裏側が最新の形にリフォームされている場合でも、街並み保存の観点から、高層階への改装はそれほど多くはないようです。
これには、欧州における住宅の成り立ちも影響しているかもしれません。
特に大都市部で、かつて貴族が住んでいた「お屋敷」的な建物では、最上階の屋根裏が使用人のためのスペースと
されていたことが多くありました。
そのため、最上階の間取りが他の階より狭かったり、階段が細くエレベーターの設置が難しかったりといった理由から、
欧州では上の階のほうが下の階より安い物件も多く存在します。
近年、不動産価格が高騰しているパリ市内では、こうした古い物件のリフォームも進んでいますが、
上層階は間取りが狭いことから「お手ごろな物件」として人気が高いそうです。
(もちろん、それでもかなりの高額物件ですが。)
■ 高層住宅と低層住宅のメリット&デメリット

<高層も低層も、それぞれ利点が>
ところで、タワーマンションなどの高層住宅と、一軒家や低層マンションなどの低層住宅では、
どのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
高層住宅に住むメリットとしては、「日当たりが良く明るい」「眺望が良い」「上層階に住むというステイタス感」
などが挙げられます。
特に都市部では、隣接する建物との関係から、高いほど眺望が良いのは事実でしょう。
一方のデメリットとして挙げられるのは、「高層階でのビル風が強い」ことや、「地震などの災害時にエレベーターが
止まった際の昇降が大変」といった点です。
日本は災害時でも電気の復旧が早いと言われていますが、東日本大震災の際には、タワーマンション高層階の住人が
自宅にたどり着けなかったという事例もあったそうです。
こうした背景から、川崎市では「タワーマンションの住人には、状況によって在宅避難を推奨」しているそうです。
また、低層住宅に住むメリットとしては、「外の様子が分かりやすい」「風通しが良い」「管理のしやすさ」
「メンテナンス費用の軽減」などが挙げられます。
特に、台風や地震などの災害が多い日本では、外の状況を敏感に感じ取れることや、いざという時に高層階に比べて
避難しやすいこと、構造上の耐震性の高さなどが、大きなポイントとして東日本大震災以降、特に注目されているようです。
一方で、低層住宅のデメリットとしては、ケースにもよりますが、騒音などの「外部環境の影響を受けやすい」点や、
「外部から侵入されやすいのではないか」というセキュリティ面での不安なども挙げられます。
どちらにも一長一短がありますが、それぞれの世帯によって、デメリットに対する対策は変わってきます。
例えば、「体力に自信のない高齢者世帯であれば、万が一を考えて高層階を避ける」といった判断は、事前に検討すべき点でしょう。
■ 近年は、「高層階に住んでいることでの健康不安」を問題視している?!

<何気ない体調不良も、実は…>
実は、高層住宅が定着してから、ひそかに話題に上がっている症状があります。
「高層階症候群」と呼ばれるもので、高層階に長期間住むことが原因で、頭痛やめまい、耳鳴り、倦怠感、不眠、
慢性的なストレスなどの症状が挙げられています。
ただし、この高層階症候群は、タワーマンションのような高層階に住んでいる人すべてに現れるものではないそうです。
過去のイギリスの例では、4階に住んでいる人に現れたケースもあれば、地上30階などの高層階に長く住んでいても、
まったく症状が出ない場合もあります。
症状が出やすい人には、三半規管が弱いことや、気圧の変化の影響を受けやすいといった個人的な体質も、
理由の一つではないかと考えられています。
また、高層階に住むことによる影響例として、さまざまな報告も挙がっています。
「4歳まで高層マンションで育った子供は、高所が怖くない”高所平気症”になる確率が高い」という説や、
「タワーマンションで育った子供の学力が低い傾向がある」といった報告もあります。これらは医学的な明確な
エビデンスがあるわけではありませんが、子育て世代にとっては注意すべき点と言えるでしょう。
さらに、高齢者が高層階の自宅で倒れた場合、救急搬送までに時間がかかるケースもあり、救命率が下がってしまう
可能性があることも、医療現場では懸念されているそうです。
■ 選ぶのは個人の好みの自由。でも検討は十分に!
自宅としての家やマンションの購入は、決して気軽に決められるものではありません。
また、憧れや理想の生活も人それぞれであり、それぞれのケースに合った良い「めぐり合わせ」で決まることもあるでしょう。
ただし、物件を選ぶ際には、これまで述べてきた点も踏まえながら、それぞれの世帯に合った検討を十分に
重ねていただければと思います。
ちなみに弊社のリムテラスはイギリスなどのテラスハウスを思わせる低層住宅です。是非こちらもご参考までにご覧ください!
さて今後も、欧州ならではのエピソードや欧州にかかわらず世界や日本の不動産関連・建築にかかわる情報を、
ブログとメルマガで、引き続きレポートさせていただく予定です。こちらのブログでは写真など多めに載せていきますので、
ご興味がありましたら是非引き続きお立ち寄りくださいませ。
それではまた、メルマガとブログでお会いできれば嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
