地中海の小さな町から、こんにちは。ガイアフィールドの、一番遠隔地からのリモート社員・森口と申します。

今年も、日本・欧州の不動産事情やトレンドなども交えた、ガイアフィールドならではのオリジナルな情報をお届けします。

 

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ドアノブにも歴史を感じる!世界と日本のこだわり建具

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いろんな町を歩きながら建物を見たりするのがすっかり趣味な私ですが、実は個人的に「細部」にすごく惹かれる

傾向があります。建物の外観・内装の中に含まれている部品や、細部の装飾には、ついつい目が留まってしまいます。

欧州での街歩き中に気になっていたのは、繊細な装飾や意匠が凝らされた金具部分でした。その建物が建てられた時代の

デザイン傾向や当時の背景なども感じられます。中には、建物全体の雰囲気にも影響を与えるほどの存在感があるものも。

今回は、一見地味かもしれませんが注目し始めると面白くなりそうな「建具(たてぐ)」について、日本や世界の

特徴的な部分もお話ししたいと思います。ちょっとマニアックかもしれませんが、これを機に日常や旅先などでドアを

見る目が変わるかもしれません。

 

 

■さて、「建具」とは?

日本の建築用語で「建具(たてぐ)」とは、一般的に建築物の外部または内部での仕切りとなるドアや引き戸、

ふすまなどの開閉する設備を指します。そして建具金物とはその周辺に使われる金属製の部品のことを指します。

今では総じて、ドアノブや窓のサッシなどを含む様々な金属製部位を指すものとなっているようです。

時代や建物の様式で、贅を凝らしていると分かりやすいのが「建具」や「建具金物」かもしれません。

 

 

■ 心が惹かれる「日本の建具」の注目ポイント

古い日本家屋は、基本的に木造建築が多く、引き戸や窓枠なども木造で統一されていました。

部屋の仕切りをする「ふすま」やふすまの上部にある「欄間」などは、日本家屋の象徴的な建具でしょう。

作られた時代や職人技によって、美術品としての価値さえ見出されているのも既に周知の事実です。

また些細な部分ではありますが、障子の取っ手やつなぎに使われる建具金物も、よく見ると繊細なデザインが

施されているものがあります。その様子によって「この家は贅を凝らしたものだったんだろうな」とか

この時代の建築職人のこだわりなども感じさせられるものもあります。

 

<ふすま絵、繊細な窓枠など、今でも美しいものが実はたくさん!>

 

古い日本の建具や建具金物は一見ものすごくシンプルなのですが、実はこだわった造りだったり、取り付けなどにも

きめ細かい配慮がされていると感じるものも多いのです。

近年は建て替えや取り壊しなどでそうした昔の物件の詳細を知る機会もだんだん減ってきていますが、

近年の過疎村落などでの古民家リフォームブームによって、こうした細かい部分も実は見直され始めているようです。

 

 

■ 私が気になる「欧州の建具金物」いろいろ

欧州、特にスペインで私が街歩き中についつい写真を撮ってしまうのが、ドアや窓の柵、張り出したベランダの

床部分などです。なぜならこの部分は内部のリフォームを経てもオリジナルを残していることが多いからです。

特にいつも気になるのが「ドアノブ」や「ドアノッカー」です。スペインのドアノブは付いている位置が

日本と違っていたり、時代や様式によって様々な形やデザインのものが多いので、実はかなり見応えを感じていました。

一軒家の玄関ドアはもちろん、日本の分譲マンションに当たるPiso(集合住宅)の入口ドアなども、

建てられた年代によっての雰囲気も感じられます。

<今も現役の、1855年建築のドア>

 

また、呼び出しのためにドアにつけられた「ノッカー(叩き金)」は、その時代やその時々の流行などでも

いろいろな形があります。地域性によって独特なものがあったり、時には家主のパーソナリティーを表していたりと

かなり個性的なものを見つけることができます。特に古い村などを散策した際に、見たことがない形のものを

見つけると想像が広がってワクワクさせてくれます。

 

 

■ 欧州のドアノッカーの意外な歴史的変遷

欧州でのドアノッカーの発祥は、古代ギリシャ時代からと言われています。古代ギリシャ人は予告なしの訪問に厳しく、

訪問する場合には必ず予告するべきとされていたんだそうです。古代ギリシャの中でも特に洗練されていたというアテネでは、

富裕層の家には取次専門の召使いが常駐していましたが、ドアに取り付けられた金属製の「ドアノッカー」が生まれ、

来訪を告げるのに重宝されるようになったんだそうです。

このドアノッカーはローマ帝国時代にも引き継がれ、機能的なものを作るために当時の鍛冶屋のレベルを上げるのにも

かなり貢献したと言われているそうです。

またルネッサンス期には実用性だけではなく細やかな装飾を加えることも求められ、ドアノッカーの芸術性が高まりました。

そしてその流れはイタリアからドイツ・イギリスにも広く波及し、実用に長けた金属の輪のドアノッカーだけではなく

動物や植物、神話の人物などのモチーフなどを組み合わせたデザインが広く使われるようになりました。

特に有名なのは「ライオンズ・ヘッド・ノッカー」と呼ばれるライオンが輪を咥えているデザインで、「獣の王」と

されているライオンの強さや高貴さ、そして権力や強さを象徴しており、宮殿や邸宅・教会などで多く使用されてきました。

ちなみに、ロンドン・ダウニング街にある首相官邸のドアには、今もこの「ライオンズ・ヘッド・ノッカー」が使われています。

 

<こちらは、今は図書館になっている建物の、ライオンズ・ヘッド・ノッカー>

 

一方、地中海沿岸地方に広がっていったのは「ハンド・ノッカー」と呼ばれる、手をモチーフにしたドアノッカーです。

この手をモチーフにしたノッカーは、悪から身を守ってくれる「ファティマの手」と呼ばれる民間信仰のお守りから

きていると言われています。(一説には、トルコやエジプト説もあり。)イタリアやフランス南部、そしてスペインと

地中海沿岸の多くの建物では、このハンド・ノッカーをよく見かけます。

 

<果物を持ってるハンド・ノッカー>

 

このハンド・ノッカーは実は様々な表情があるのが面白いところです。中には、指輪をしていたり、ボールを持っていたり、

中には多分施主さんの職業に関連した道具を持っていたりするものも。

スペインのとある山奥の小さな村を散策していた時にはかなり古い家が多かったのですが、リボンと子供の手

(生まれたのかな?)とか、変わったものではイノシシの前足(幸運?イノシシ好き?)というのも見たことがあります。

 

 

さて、今回は大変個人的な趣味に走ったマニアックな内容となりましたが、建築関連のひとつのトピックとしては

面白いと思いませんか?今回を機に、こうした建具に興味が出たら是非注目してみてください。また可能でしたらまた、

私の個人的なコレクションも時々ご紹介させていただきます!(笑)

 

今後も、欧州ならではのエピソードや欧州にかかわらず世界や日本の不動産関連・建築にかかわる情報を、ブログと

メルマガで、引き続きレポートさせていただく予定です。こちらのブログでは写真など多めに載せていきますので、

ご興味がありましたら是非引き続きお立ち寄りくださいませ。

 

それではまた、メルマガとブログでお会いできれば嬉しいです!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。