【番外編】スペインのクリスマスは25日で終わらない!?

 

日本では12月は師走、お忙しいことと思います。

 

前回まで、欧州のクリスマスマーケットについてお話ししてきました。

通常の欧州の12月の一般的なお休みは、12月24・25日、そして31日・1日の4日間”飛び石”休日です。

西洋のクリスマスの一般的なスケジュールとしては、24日は午後早めの時間で仕事や学校が終わり、家族や親族で一緒に夕食を取り、キリストの生誕を祝って乾杯し教会でのミサに参加したり、翌朝のサンタクロースからのプレゼントを待ちながら眠りにつきます。(家によっては夕食の後にプレゼントをあける場合も。)

25日の朝はキリストの生誕を静かに(人によっては昨晩の二日酔いを静かに・・・)祝い、26日から通常営業し、その後大晦日の夜と1日は「新年」という事でお祝いし(学校も仕事もお休み)、2日からはまた通常に戻る感じです。

 

ところが、スペインのクリスマスはちょっとそれとは違います。初めて体験した際に、私は本当に驚きました。

ということで、今回はクリスマス特集の最後として、他とはちょっと違っているスペインのクリスマス期間についてお話ししたいと思います。

 

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まだクリスマス中?!スペインのクリスマス期間

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スペインのクリスマス期間は、12月24日から始まって1月7日までになります。最近ではお店や仕事によっては、飛び石になる場合もありますが、大半のクリスマス休暇は12月24日午後~1月7日に取られるのがほとんどです。学校や官庁関係は丸々お休みです。

 

スペインの12月24日

 

スペイン語で24日の夜(クリスマスイブ)は、キリストが生まれた「ノチェブエナ(良い夜)」と言われています。

通常のスペインの昼食は一日で一番重くボリュームがあるものですが、24日の昼食は軽めにして夕食に備えます。

そして夕食はその地方や家庭での御馳走が並びます。

一般的な標準装備のメニューとしては、生ハム・チョリソ・サラミ・チーズ、エビのマリネやアサリのクリーム煮、ムール貝のピメントソース、ウナギの稚魚を模した炒め物などの前菜的なお皿のあと、「子豚の丸焼き(cochinillo)」「子羊の丸焼き(lechazo)」などがメインとして並びます。

スペインでのクリスマスのお菓子は、アーモンドやチョコレートなどのトゥロン(turrón)と呼ばれる分厚い板状のお菓子やドライフルーツのチョコレート掛けやチョコレートボンボン、ナッツなどがメインです。(最近まで、クリスマスケーキと呼ばれるものはありませんでした。)

その後、家族でCava(スペインのスパークリングワイン)で乾杯し、夜のクリスマスミサに行く人もいます。

本来、スペインではクリスマスにプレゼントはありませんでした。昔はサンタクロースは来てなかったらしいです。(近年は世界規模の商業的な背景から、サンタさんも来るようになりました。笑)

その代わり、スペインの子供たちが心待ちにしているプレゼントの贈り主は「レイエスマゴス(Reyes Magos)」という三人の賢者で、プレゼントを届けに来てくれる1月6日の夜まで待たなくてはいけません。

 

<食べきれないほど並べるのがスペインの伝統?>

 

スペインの12月25日

 

25日は、親戚や友人宅に挨拶に行くケースが多いです。日本でいう「新年のあいさつ」に向かう元旦という感じに似ています。ほとんどのバーやお店は閉まっていますが、人通りが多い感じです。

 

<町は静かなのに、人通りが多い不思議な感じです>

 

スペインの12月26日以降

 

休暇を取っている人は故郷の村などで、クリスマスムードのまま飲み食べしている感じです。日本の「お正月の三が日」みたいな位置づけが、1月6日位まで続いているという感じです。

最近では、シフトがある仕事やお店などは時短営業されているので、交代で出勤というケースも多いようです。

 

スペインの12月28日

 

この日は「聖なる無垢な人々の日(Día de los Santos Inocentes)」と呼ばれる、スペインでは「嘘をついてもいい日」になっています。テレビではどっきり企画のプログラムが流れ、新聞では凝った嘘のニュースが一面に。

数年前に某スポーツ紙が出した「メッシ(アルゼンチン代表)がスペイン代表に!」という嘘記事は、当時のスペイン人の願望を捉えたもので本気にしたかった人も多かったようです。(笑)

この日は、特に嘘をつかなくても人型の紙人形を誰かの背中に貼る、といういたずらも行われます。

 

<子供が朝、お父さんに貼ってるのがよくあるケースです>

 

これもクリスマス期間のイベントになっていますが、起源はちょっと残酷なお話からなのです。

いつか王座を奪われると予言された救世主誕生を危険視したヘロデ王に対して、イエスを祝福しに行った東方三賢人(東方三博士とも。前述のReyesMagosのことです)はイエスを守るために話しませんでした。2年後にそのことを知ったヘロデ王が、ベツレヘムでイエスと同時期に生まれた子供を皆殺しにしたそうです。その子供たちは「聖なる無垢な人々」として殉教者になっています。当のイエスは、夢のお告げを受けて聖母マリアと共に早々にエジプトへ逃げた後で難を逃れています。

 

スペインの12月31日

 

マドリッドのプエルタ・デル・ソル広場では31日の夜に新年のカウントダウンを行います。(テレビでスペイン全土に中継されます。)広場にある鐘が12回鳴るのに合わせて、その年取れたブドウを12粒食べることは幸運と繁栄、そして魔よけの意味があるんだそうです。始まりには諸説ありますが、スペインでは17世紀後半から続く伝統行事です。

 

<テレビの前で12粒のブドウをお皿に用意して、12時を待ちます>

 

スペインの1月1日以降

 

1日の元旦は、前夜に大騒ぎして飲み過ぎたため二日酔いしている人以外は、ごく普通のクリスマス期間の休日です。

2日以降は普通のクリスマス期間中の休日ですが、仕事が始まったりお店はほとんどが時短営業ですが、役所や学校は完全にお休みです。

 

スペインの1月6日

 

スペインの子供たちが待ちに待った日です。6日は、イエスに贈り物をしたレイエスマゴス(東方三賢人)が、よい子にしていた子供達にプレゼントしてくれる日です。

この日の前から、様々なデパートにはレイエスマゴスへの手紙を託せるポストや、レイエスマゴスと直に話せる椅子が用意されて子供たちは真剣にプレゼントに対する意気込みをレイエスマゴスに伝えます。

当日の夕方、「今、レイエスマゴスはあなたの街に着きました!」というニュースが街を走ります。地元警察と妖精の助手に従われながら大通りを大きな山車で練り歩いた後に、それぞれの市役所や主要広場でレイエスマゴスが「プレゼントを寝ている間に届けます!良い子は今夜早く寝ましょう!」という宣言が盛大に行われます。その後子供たちは急いで家に帰って、興奮しながら早めの眠りにつくのです。

 

<地中海沿岸では、レイエスマゴスは海から船に乗ってやってきます!>



スペインの1月7日

 

クリスマス期間で最終日となります。この日の朝は、良い子の靴にはレイエスマゴスからのプレゼントが置かれています。ちなみに悪い子だった場合は、石炭(Carbon de Reyes.今は石炭のような飴)が置かれることになります。

 

<中は、石炭のような真っ黒な飴です。意外においしいですが>

 

この日の朝は、レイエスマゴスを祝った「ロスコン・デ・レイエス」という菓子パンを家族みんなで切り分けて食べます。

中には宝物(何かのフィギュアが多い)と豆が一つずつ入っており、宝物を引いた人は王冠をかぶって王様のように誰かに命令ができます。豆を引いてしまった人はその命令を聞くか、そのロスコン代を払う事になります。

 

<こちらがロスコン。輪になってるお菓子です>

 

・・・さて、スペインのクリスマス期間のお話はいかがだったでしょうか?

所変われば同じ行事でも過ごし方が全然違うので、ビックリしますよね。

なかなかまとまった休みがとりずらい日本と比較すると、休みが多くてちょっと羨ましく感じるかもしれません。私は最初に経験した時、なかなか終わらない長過ぎるクリスマス休暇に不安さえ感じました。(苦笑)

スペイン人は、休暇を楽しみに日々頑張っているんだ!というぐらい休暇に対しての熱意が強いです。そして、カトリック教国としての宗教行事対しての熱意と執心も強いです。よくスペインは「情熱の国」と呼ばれますが、確かに休暇と宗教行事に対するパッションを間近で見ると納得できます。(ちなみに私の目には、それ以外はそれ程情熱は感じません。)

 

また今後も引き続き、欧州ならではのエピソードや不動産関連・建築にかかわる情報をブログとメルマガで、引き続きレポートさせていただく予定です。

こちらのブログでは、今後写真なども多めに載せていきますので、ご興味がありましたら引き続きお立ち寄りください。

 

それでは、こちらが多分スペインからのレポートの今年最後になるかと思いますので、皆様どうか良いお年を。

そして、また来年もメルマガとこちらのブログでお会いできればうれしいです。

 

Happy Holidays and Hope we will have great new year! 

Feliz Fiesta y Espero que vamos a tener muy buen año!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。