地中海の小さな町から、こんにちは。ガイアフィールドの、一番遠隔地からのリモート社員・森口と申します。

今年も、日本・欧州の不動産事情やトレンドなども交えた、ガイアフィールドならではのオリジナルな情報をお届けします。

 

--------------------------------------------------------------------------------------

実は深い?意外な世界の壁いろいろと日本の壁いろいろ

--------------------------------------------------------------------------------------

キャプチャ-Jun-30-2025-05-07-25-0175-AM

<壁の違いも文化ギャップ。私は上手に塗れない…>

 

よく「日本では普通だと感じていたことが、海外では普通ではなかった」ということを聞いたことがあるかと思います。

治安しかり、常識しかり、ちょっとした習慣しかり。そして、家の仕様や壁もしかり。

国によって場所によって、家の形もいろいろで、それに伴って壁の仕様もいろいろあります。

日本で普通だと思っていたクロス張りの壁は、海外の建築ではあまりポピュラーでは無かったのに驚きました。

今回は、海外と日本の壁の違いのいろいろ、そして日本のクロス貼りについてもお話ししたいと思います。

・・・スペインの我が家の壁はひんやりとして湿度がこもりやすく、春先はいつも私はクロス張りの日本の壁が恋しくなっています。

 

■ 欧州の壁、日本の壁

 

キャプチャ2-1

<欧州も日本も、壁はあるけどちょっと違う>

 

家の大部分を占めるのは「壁」。壁は、家全体の印象を決めるものですよね。

質感や色合いなどで、施主さんの好みが表現されたり、家全体の雰囲気が決まったりします。

世界にはいろんな家の形があり、使われている素材もそれぞれ違うものなので、壁もやはり同じとはいきません。

 

日本の場合は壁紙クロスを使う場合が多いかと思います。が、欧州では昔から「ペンキで壁塗り」が主流です。

(もちろんある時期、例えばスペインでは1960年代辺りには壁紙が流行し、今でも部分的に使ったりする例も。)

 

欧州では、年代によっては石造り、またはレンガで作られている土台を下地に、上からペンキを塗り重ねていく方式です。

ペンキは壁紙よりも安くできる場合が多く、どこにでも塗れて手軽なため、欧米では模様替えなどの際に気軽に塗り替えているケースも多いようです。その時の流行の仕様や塗り方などもありますが、ある程度の技術があったほうがきれいに仕上げることができます。

キャプチャ3-1

なので、こちらのホームセンターにはペンキがほんとに豊富!>

日本の住宅建築では昔からその気候に合っている木造に近年のコンクリートなどを組み合わせた素材などで構成されています。そして壁は木造部分または鉄筋コンクリートの土台にクロス貼りすることが多いです。

クロス貼りの利点は、扱いやすさや補修のしやすさ、更には近年目覚ましい進化を遂げている「クロスの素材」の性能(後述)を、リフォームなどで後からでも追加できることでしょう。

 

■ リフォーム現場で知る?!「壁」の流行の変遷

 

業者や個人の好みなどでちょっとした差はあるかもしれませんが、現在の欧州、特にスペインのリフォームシーンでは、「何層にも塗り固められたペンキを剝がしてから、改めて壁をペンキで塗る」というやり方が主流です。

特に古い建物では土台のレンガの上に、かなりの厚みのペンキが何層も塗られたり、時には昔の古いクロスの層が挟まっていたり…と様々です。最近のリフォーム現場では、壁のリフォームはさながら歴史を感じる発掘作業のような時もあります。

 

例えば、スペインでひと昔に人気だったGotele(ゴテレ)と呼ばれるペンキのしたたりの凹凸を残した塗り方や、1970~80年代頃に流行っていた濃い紫や濃いピンク、夕日のような眩しいオレンジなどスペイン人好みのビビッドなカラーがよく使われていたのには驚きます。全部の部屋が反対色の原色!という物件例も見たことがあります。

また、ポルトガルとスペインは陶器タイルで有名なので、ひんやり感じさせるタイルが貼られた昔の壁など、実際に今見ても美しい芸術と感じるものもあります。また、古い建物であればあるほど、壁のペンキの層を取り除いた際、土台の石やレンガの造詣がきれいなものが発見される場合も。建物の歴史を感じさせるそうしたレンガや石の土台を活かしたデザインは大変人気で、古い物件のリフォームの際にはそうした目当ての「宝物」を期待して壁を掘っている例も多いようです。

 

キャプチャ-Jun-30-2025-05-18-20-5013-AM

<これぐらい、壁土台のレンガがきれいに整列していると当たりです!>

 

 

一方の日本の場合のリフォーム現場でも、当時の流行や昔ながらの日本家屋らしさを感じる場面があります。

日本の場合は、ペンキよりも「クロスの上に貼ったクロス」の層ができている場合もあり、模様や色合いなどで「こんな模様がはやっていた時代があったんだ…」と感じることも。また美しい左官の技術が光る漆喰の壁や日本独自の天然素材を混ぜ込んだ壁材など、今も興味深い技術や素材を垣間見ることも。

 

日本でも欧州でも、リフォームによってそれぞれのオリジナルの壁やその歴史を感じさせるものを見つけた時は、感動に耐えません。(涙)

 

■ 日本のクロスの進化に驚く!最先端のクロス素材

 

キャプチャ2-2<なじみのあるものから、初めて聞く素材まで!>

さて、日本の住宅に欠かせない壁のクロスは、様々な時代のニーズや素材の革新によって進化しています。

華やかな発色や装飾要素を持ったデザイン豊富でありつつも湿度調節も兼ねる「紙クロス」、防水性があり衛生的に使い勝手が良い「ビニールクロス」、天然素材をもとに上質感のある風合いを兼ね備えた「布クロス」などは一般的です。

ビニールクロスに近い性質を持ち耐久性に優れ環境にもやさしいと言われている「オレフィン樹脂」のクロス、化学物質を含まず調湿機能と消臭効果も期待できる「珪藻土壁紙」などのほかにも、汚れが付きにくいように撥水素材やウレタンなどでコートされたものや、傷がつきにくくてクラック(ひび)などを軽減するストレッチ素材のクロス抗菌仕様抗アレルギー抗ウイルスのクロスなど、現在の様々な希望に合わせた物を選ぶことが可能です。

選び方によっては、前述の一つに特化した効果だけではなくいくつかの効果を持ったハイブリッドな機能性クロスも出現し、選ぶのが楽しい以上に大変なほどです。

 

■ クロスを選ぶ際に、思い出してほしいこと

 

壁はデザイン面で家の印象を決める物であるだけではなく、家の大部分を覆うものでもあります。

壁のリフォームやクロスを選ぶ際には、自分なりのチェックリストを作って、それに当てはまるものを選ぶというのも手です。またクロスを張り替える部屋の目的をはっきりさせるのも、目安の一つの指標にできます。

例えばペットと住んでいる場合、居間のクロスは消臭機能と防汚素材がいい、キッチンなら防汚素材や掃除がしやすい素材のクロス、寝室では抗アレルギー効果がありつつ触った時の質感を大事にしたい…など、更に自分なりの好みも十分加味すれば、希望の形が叶いやすいでしょう。

近年その原因物質が次々と判明している「シックハウス症候群」、またはアレルギー症状を軽減するために天然素材を使った壁クロスを選ぶ方も多いでしょう。それぞれの壁にはそれぞれの目的や理由があるはずなので、検討の際には是非自分なりに見極めてみることをお勧めいたします。

そして、よくわからなかったり、新製品などに興味があれば是非弊社までお気軽にお問い合わせいただければと思います!

 

今後も、欧州ならではのエピソードや欧州にかかわらず世界や日本の不動産関連・建築にかかわる情報を、ブログとメルマガで、引き続きレポートさせていただく予定です。こちらのブログでは写真など多めに載せていきますので、ご興味がありましたら是非引き続きお立ち寄りくださいませ。

 

それではまた、メルマガとブログでお会いできれば嬉しいです!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。