欧米で大注目中!Tiny House(小さい家)の可能性
地中海の小さな町から、こんにちは。ガイアフィールドの、一番遠隔地からのリモート社員・森口と申します。
今年も、日本・欧州の不動産事情やトレンドなども交えた、ガイアフィールドならではのオリジナルな情報をお届けします。
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欧米で大注目中!Tiny House(ちっちゃい家)の可能性
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多くの子供たちが夢見る秘密基地ともいえる「庭先のツリーハウス」や、住宅とは別に作業場のような小屋を建てたり、というケースは以前からよく見かけたと思います。
しかし近年では、大都市における地価の高騰やネットを中心とした生活や仕事の仕方の変化などを経て、住居としての家に対する考え方の変化によって、「Small house(スモールハウス:小型住宅)」というカテゴリが注目を集めるようになりました。
その動きは、特にパンデミア以降のリモートワークや「ネットや電話の回線があればどこでも仕事ができる」といった働き方の意識変化によってさらに、以前からあった”スモールハウス人気”が加速してきたのかもしれません。
今回は特に、「Tiny House:ちっちゃい家(スペイン語ではMiniCasa)」と呼ばれる、家として最小限のスペースに必要最低限のものをどう組み込んでいくかのチャレンジがなされたケースをいくつかご紹介したいと思います。
また、弊社で研究を続けてきた「小型住宅」に関するお話も合わせてご報告したいと思います!
■ まさに山小屋。自然に魅せられたミニログハウスでの暮らし。
<小さいながらも、細部に工夫と遊び心が>
バルセロナに近い、小さな村の山合いに向かった28m²のスペースに建てられた、スペイン語でいうCabaña(カバニャ、小屋、写真①)。元々、家を持つことを一切考えていなかったオーナーがここの購入を決断したのは、生まれ育った故郷だったことと四季折々の景色が楽しめるここの自然にかなりインパクトを受けたからのようです。
この風景が見えるなら、という事で即決し庭を整えて(写真②)、小さな家でも大変快適に住めているとのこと。
スエーデン製のログハウスで木造平屋建ての小さなワンルーム(写真③)の、本当に小さな家です。電気と水道は引かれていますが、屋内のスペースを最大限に使うためにコンパクトなキャンピング用品などを利用したり、アンティーク好きという事で内部のインテリアには古いものを再利用したものなどが親しみやすい雰囲気を作っているようです。
山合のため冬場は冷える日もあるそうですが、友人が制作してくれたファイヤースペース付きのテーブルで暖を取ったり、ワンルームのためすぐ暖かくなるようで、こじんまりとしながらも大変寛げるている様子。
スペースの関係で、玄関を開けるとすぐ横にガラス張りのシャワーブースがあるので(写真④)、日本人的にはびっくりするかもしれません。(お客さんがいるときはシャワーを浴びれませんね!)
夏場は外にソファーなどを置いて居間として使い、素晴らしい自然を眺めながら人を招いてランチやBBQなども楽しんでいるとのことです。
■ ピレネー山脈を望む、歴史的建造物の意味合いも持つ「小さな家」
<歴史的にも重要な建物で、村の雰囲気にも合致!>
ピレネー山脈のふもと、こちらもやはり小さな山村の小高い丘の上に、昔は小麦の貯蔵庫だった「ほぼ崩壊して放置されていた」小屋を、素晴らしい小さな家に改築したケースになります。
こちらは、天然記念公園を借景に、昔の山小屋風の雰囲気を再現するのに成功しています。オーナーは元々この村出身のため、近所に住む幼馴染や地元の職人さんの力を借りて、ほぼ崩壊寸前だったこの小屋の外見を復活させつつ、内部には暮らしやすい設備を実現しました。
外から見ると、昔ながらのこの地方に昔からあった山小屋(写真①)。屋根はこの地方独特の薄い石を敷き詰めた屋根となっています。壁は石を積み重ねながら固めたもので、メインの扉は古い厩舎から持ってきたものを外側に、内側には遮断性のある現在の扉を重ねて、とこだわりが凄いです。玄関横の、壁と繋がる石造りのベンチも見事に再現されています。
一見すると平屋の小さな家のように思えますが、実は崖下を利用した二階建て。
屋内は、メインドアを開けると小さなサロンと台所(写真③)、階段を下りるとベッドルーム(写真④)にトイレとシャワーブースがある構成となっており、下の階からも外に出入りでき、小屋に沿って納屋だった部分に洗濯機などを置けるスペースが設置されていました。ため息が出るのは、オーナーの熱意あるこだわりで集められた、今では入手が難しい昔のタイルや細かい小物なども探し出して活用している所です。「シャワーブースをこのタイルで、と頼んだ時には職人にちょっと泣かれたよ。」とオーナーが感慨深くに話しているのが大変印象的でした。
■ なんとプール付き!音楽家の住むMinicasa
<こんなに小さいのに、お洒落過ぎて憧れてしまう…>
スペイン南部、マラガ近くの村で山の上にある、リゾートのような小さな家をご覧ください。
こちらはある音楽家が実際に住んでいるMinicasaなのですが、この地方は一年のうち9カ月は温暖な(むしろ暑い)ため、ほとんど屋外で過ごしているそうです。実際にプール前(写真①)の玄関横にベッド(写真②)があり、更に屋上にもベッドを置き(写真⑥)、自然の風や太陽、そして星空を楽しんでいるようです。
屋内はベッドとソファー、そして仕事用の小さな机があるワンルーム仕様(写真④)になっており、そこにバスルーム(写真③)と小さな台所セット(写真⑤)があります。スペイン南部の日差しはものすごく強いため、部屋に光が入るとかなり眩しいらしく屋内はくすんだブルーグレー、そしてアクセントに赤を取り入れた強めの色調のインテリアでまとめられています。使っている小物やテーブルなども自ら蚤の市で探し出して、自分で加工したりしている凝りようです。
夏場は朝起きでプールに飛び込んでから、この自然の素晴らしい風景を見ながら仕事もお昼寝も食事も寝るのも、全て屋外で過ごしているという、ずいぶん贅沢な環境だという話を聞き、本当に羨ましくなりました。
夏場の料理はもちろん、屋外にあるBBQコンロがフル活動しているそうです。
オーナー自身は元々マドリッド出身だそうですが、仕事がマラガ周辺なこともあり、この場所を知ったそうです。この眺望に惹かれてかなり以前に土地を購入し、家の基礎作りからかなりの時間と手間、そして友人たちの労力も掛けて、この家を完成することができたそうです。「外で寝るのを条件に、夏場だけ友人を招くことがある」とのことです。
■ さて、弊社で研究された「小型住宅」とは?
<写真はイメージ>
木でできたイグルー(イヌイットの移動式住宅)のようなフォルムを持ったこちらのサンプルは、現在弊社で開発中の小型住宅の一例です。実は近年の「小型住宅」への需要を受けて、弊社では様々な研究開発を重ねていました。
現在この小さなスペースの中に小型住宅ならではの、様々な工夫を埋め込んだ仕様となっています。
こちらは弊社の強みである「CFS工法(主に鉄骨を用いた建築工法の一つ)」によるもので、高い耐震性や耐火性を持ち、環境負荷が少ないという特徴があります。更に鉄骨の軽量化により、建物の柱や梁がスリムであるため、室内空間を有効活用しやすく、設計の自由度が高いという利点もあります。また鉄骨の製作と建設が同時に進めることができ、建築期間が大幅に短縮できるという利点もあるため、特に今回の小型住宅には最適の工法と言えるかもしれません。
こちらの小型住宅は、ちょっとしたスペースに自分だけの書斎やプライベートオフィスとして作ったり、または若い夫婦世帯や生活導線を小さくまとめたい高齢者世帯にとっての完全な一戸建てとしても十分機能するものです。
細かいご要望に合わせた様々なパターンも提案可能ですので、もしご興味がありましたら是非弊社までお気軽にお問い合わせください!
今回のTiny House(Minicasa)の例はいかがでしたでしょうか?
スペインでは今回ご紹介したようにこうしたMinicasaの需要は高く、様々なMinicasaの話題が絶えません。実は今回の例は全て『Minicasas Sorprendentes(驚くべきMinicasa)』という小型住宅専門のTV番組からのご紹介でした。
スペインの場合は「素晴らしい景色の中に住みたい」と思った場合、景観の邪魔にならずに小さなスペースで住む場所を確保できる、この小さな家のスタイルが選ばれているようです。ただ、スペインですので何かと建築を進めるのが大変困難なため、オーナーさんたちの苦労エピソード(いろいろな問題や、時間がかかった…など)も尽きません。そのため確実に動いてくれる友人達の出番が、完成にかなり重要ポイントになっているように感じました。(持つべきものは…苦笑)
日本でも近年、平屋住宅やコンパクトな家の需要や人気が急激に高まっているとリクルートの注文住宅動向調査でも出ています。住宅の「平屋回帰」は業界のトレンドキーワードにさえなっているという急騰ぶりですので、今後も注目すべきですね!
今後も、欧州ならではのエピソードや欧州にかかわらず世界や日本の不動産関連・建築にかかわる情報を、ブログとメルマガで、引き続きレポートさせていただく予定です。こちらのブログでは写真など多めに載せていきますので、ご興味がありましたら是非引き続きお立ち寄りくださいませ。
それではまた、メルマガとブログでお会いできれば嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。