今流行の不動産投資型クラウドファンディング 投資して大丈夫?

最近投資する人が増えている不動産投資の手法の1つに、不動産投資型クラウドファンディングがあります。クラウドファンディングのシステムを利用して不動産投資ができるこの不動産投資型クラウドファンディングですが、実際に投資する時のリスクなどは皆様ご存知でしょうか。

そこで不動産投資型クラウドファンディングに投資する時の注意点やリスクなどをここでお伝えしていきたいと思います。




不動産投資型クラウドファンディングとは

不動産投資型クラウドファンディングとは、クラウドファンディングのシステムを利用して不動産投資ができる、ここ5年ほどでサービスサイトが大きく増えている投資手法の一つです。

具体的には例えば1億円の不動産を不動産会社が購入するために、投資家から10万円ずつ1,000人から資金を集めます。そして投資した金額に応じて、投資家は家賃から分配収入を受け取ることができます。

一定の運用期間が終わったら不動産は売却され、売却されたお金で投資家には出資元本が返済されます。

東証プライム上場企業でもこのような不動産投資型クラウドファンディングサービスを提供している会社が増えており、そのサービス数は大小を合わせて100近くになるとも言われています。

不動産投資型クラウドファンディングのメリット

では不動産投資型クラウドファンディングにはどういったメリットがあるのか、具体的な内容を見ていきましょう。

自分で不動産を運用する必要がない

不動産投資型クラウドファンディングの特徴の一つに、投資家個人が自分で不動産を運用する必要がない点が挙げられます。不動産で収入を得るためには建物をキレイにして不動産会社を通じて入居者を募集し、建物の運用管理などを行なわなければいけません。

不動産投資型クラウドファンディングは物件の運用や賃借人の募集などはサービスを提供する不動産会社が行っているので、投資家個人が運用の手間をかける必要がありません。

そのため副業に向いているとも言えます。

少額から投資できる

不動産投資型クラウドファンディングサービスの多くは1万円や10万円といった少額から投資が可能です。実物不動産投資をしようとすると物件を購入しなければいけないので、数百万円以上の自己資金を用意してその上で金融機関から融資を受けなくてはいけません。

しかし不動産投資型クラウドファンディングであれば自分の収入の範囲内で投資ができるため無理なく投資できますし、それほど貯金がない人でも投資を始めやすいです。

不動産投資型クラウドファンディングのリスク

投資にはメリットだけではなくリスクもあります。むしろリスクこそしっかり知っておく必要があると言えるでしょう。

そこで不動産投資型クラウドファンディングのリスクを見ていきます。

 

売却やキャンセルができずに資産としての流動性が低い

実物不動産投資を行っていると、その不動産は自分の自由に運用することができます。そのため現金が欲しい、また収益性があまり見込めない時などは売却して現金に替えることもできます。

しかし不動産投資型クラウドファンディングの場合はお金を出資した後、案件の運用期間中は基本的にキャンセルができません。そのため急に現金が必要になった時に現金化できないなどのリスクが生まれてきます。

また他人への譲渡も難しくなっています。不動産投資型クラウドファンディングへの出資分を担保にして融資を受けることもできないので、資産としての流動性は低いです。

 

物件の評価が妥当でないことがある

不動産投資クラウドファンディングは案件情報として、必ず運用期間と想定利回りが提示されています。しかし不動産としてその収益性が妥当かどうかは、詳しく情報を見ないと判断できません。

利回りが10%以上という大変魅力的な案件もありますが、それは確実に得られる収益ではなく、あくまで運用不動産が運良く高く売れた時にその利益がでるという想定の数字でしかないのです。

また、家賃収入を元に投資家に対しての利回りを想定している場合でも、高い家賃で入居者が決まるかどうか確実ではなく、運営元の不動産会社の手腕次第となってきます。

実際に不動産投資型クラウドファンディングの案件情報を見てみると、価値のない不動産を高く売却できると想定していたり、家賃が相場よりもはるかに高い値段で運用できる前提で投資家に対して高い利回りを見せかけているだけということもあるのです。



不動産投資型クラウドファンディングに投資するときの注意点

少額から投資が可能であり、しかも利回りが5%以上の案件も多く魅力的に見える不動産投資型クラウドファンディングですが、投資する際にはいろいろな注意点が必要です。

その具体的な注意点についてお伝えします。

 

運用する不動産の価値を確かめる

まず最も重要なのは、運用が行われる不動産の価値が妥当であるかどうかを調べることです。不動産投資型クラウドファンディングでは投資家からお金を集めて不動産を購入しますが、運用が終了した時には売却を行います。

例えば5億円集めて不動産を購入したけれども実際にはその不動産は5億円もの価値もなく売却時に3億円でしか売れなかった場合、2億円の損失を投資家と不動産会社で負うことになります。

そんなことが起こらないように、購入する不動産に対して募集する金額が妥当かどうなのかを判断する必要があります。

幸いにも不動産投資型クラウドファンディングでは、購入して運用する物件の立地や建物の情報は詳しく公開されるので、過去の売却事例や不動産市場の価格と判断して数字が妥当かどうかを判断することは難しいことではありません。

投資する前にはまず運用される不動産の価値を確かめるようにしましょう。

 

収益性が妥当であるかを検討する

次に見ておきたいのは、提示されている収益性が妥当かどうかという点です。例えば不動産クラウドファンディングでは利回り10%以上という案件も珍しくはありません。

しかし東京都内でビルやマンションを普通に運営していれば、利回りは5%でも高い方だと言われます。

不動産会社が物件を非常に安く仕入れて運用することができていれば利回り10%も実現不可能ではありませんが、そんな良い条件で不動産を仕入れられることは頻繁にはありません。

利回りを見た後は、まずは投資家への配当の原資がどれぐらいどこから捻出されているのかという点を確認し、その数字が高すぎないかということをよく見るようにしましょう。

不動産の価値がどう推移するのかを考える

不動産投資型クラウドファンディングでは、物件の運用終了後売却が行われ投資家に出資元本が返済されます。その際に不動産の価格が下がっていれば、例えば1億円集めた後に9000万円でしか売却できないこともあり、投資家の一定の損失が発生する可能性があります。

そのため、不動産価格がどのようになるのか、その推移を見定めて投資しなければいけません。

例えば都内の物件でしたら不動産価格が急に下がることは考えにくいですが、利回りが高くても郊外の案件であればなかなか売却ができず、売却できても価格が安くなってしまうことも考えられます。

不動産は立地によって大きく価格が上がったり下がったりするため、物件の立地によってどのように物件価格が推移するのかも想定してから投資するかどうかを決めましょう。

まとめ

不動産クラウドファンディングは、自分で不動産を運用する必要もなく少額から投資できる比較的手軽な投資となっています。実物不動産に投資するよりもまずは不動産投資型クラウドファンディングから投資を始めたいという方もいるかもしれません。

しかし提示されている不動産の価値や収益の数字は、サービスによってはあまり妥当でないこともあり、自分でその提示されている利回りや募集金額が妥当かどうかを判断できるようにならないと危険なこともあります。

しっかりと情報を吟味して、自分が許容できるリスクの範囲内で投資を始めるようにしましょう。