地中海の小さな町から、こんにちは。

ガイアフィールドの、一番遠隔地からのリモート社員・森口と申します。

こちらのブログで、既にメルマガで書かせてもらった題材を少し掘り下げ書かせていただける事になりました。

日本そして関東近郊の住宅事情やリフォーム、建築・不動産関連の周辺情報はもちろん、欧州の不動産事情やトレンドなども交えた、ガイアフィールドそして【ガイア通信】ならではのオリジナルな情報をお届けします。

 

メルマガでは早めに情報発信をさせていただいているので、よろしければ是非メルマガ登録もしていただけると嬉しいです。

 

---------------------------------------

欧州の、リアルな建築現場の事情

---------------------------------------

 

先日のメルマガでも触れた、ヨーロッパの建物現場の事情について、もう少しレポートしたいと思います。

個人的に、こちらの建築現場が日本の建築現場と「なにかと」違っていることに大変興味がありましたので、私が見てきた「ちょっと面白い!」と思ったところなどを、いくつかご紹介したいと思います。

 

<こちらでよくある、とある小さな村の風景>

 

日本とは違って、こちらヨーロッパの建築の基本は、今も昔も「レンガ」や「石」などがメインです。

ヨーロッパのよくあるイメージとして「石畳」がイメージされますが、そこと繋がって街中の壁も石造りだったり、レンガ造りだったりするので、独特の雰囲気があります。日本人にとっては異国情緒を感じさせる部分かもしれません。

火事などがあるたびに焼けてなくなってしまう木材や紙などが中心だった日本と違って、石やレンガは火事が起こってもかなり焼け残るので、大丈夫そうなところをちょっと修復して再利用、というのが昔から続いているようです。

 

<壁を削ると、どこからでもレンガが出てきます。>

 

もちろん、現代の建築現場では鉄筋やコンクリートなどもしっかり使われていますが、日本と違って地震も滅多に起こることがなく、中世からの建物もなんといまだ現役な場合が多いのです。

その古い造りの建物の外身をそのまま利用して中身だけ作り変えるリフォーム方法や、街並み保存のために「表側だけを残して」裏を全改築…といったような手法がとられている例もよく見かけます。

 

<まさに表側だけ残して、後ろを壊して表面の壁一枚が残っている状態>



この写真のように、表の壁を残したまま後ろ部分の建築をする際には、表面だけを残して後ろ側はきれいにそぎ落とされた状態になっているのが分かるでしょうか?(壁の後ろ側すぐに青空が見えていると思います。)

壁一枚だけ残っている状態なので、表と裏は鉄骨(赤い横ラインのあるもの)で仮の補強がされています。

 

アンティークな窓枠や当時のオリジナルな飾りなども可能な限りそのままにして、表側に沿って新しく作っていく形のようです。そのため表面はアンティーク調なのに内部は最新になったというマンションやアパートも多いのです。そして、そういった物件は、お値段もそれなりに高く売り出されています。

高い理由としては、特にそういった建築がされている地域が古い都市の中心部や歴史的エリアなどに指定されている場所が多く、立地的にも機能的にも便利なため大変人気のある物件になっているのです。

 

ちなみに「表だけ利用した」物件の見分け方として私なりに感じたのは、表面の壁が通常よりも分厚くなっていたり、表玄関部分の造りをよく見てみるとなんとなく分かることが多いです。

ついつい旅先などでも、訪れた街の建物や建築現場をいろいろ考えながら見てしまうのですが、その時代が見える建築方法や当時の美しい装飾などが活かされているのを見ると、歴史の重みだけではなく街づくりの楽しさも感じさせてくれます。

 

ヨーロッパの旧市街地は、よく見ると古い街並みを大切に残しながら、現代の生活に合わせて後付けされた場合が多いです。

外観や建物の大枠を壊さず、昔の建物構造に現代の水道や電気設備、更にはエレベーターなどを組み込んでいくのは本当に大変な作業だろうなと想像してしまいます。

回旋する階段部分の真ん中に小さなエレベーターを入れたり、中庭の一部に外付けしたり…と様々な思考の工夫を感じ取れます。私がこれまでに実際に見た中では、イタリア・ナポリのアパートの「二人がギリギリ限界」のエレベーターが極小でした。見事にこのエレベーターを入れこんだ技術の方はきっと、「できた~!」と叫んだに違いないと妄想してしまいました。

 

さて、最近よく話題になっているのは、古い建物の「小さな部屋の改装」です。昔は女中さんの部屋として使われていた屋根裏部分を、現代風に改装したりするのが流行っています。Tiny RoomとかMini Pisoなどと呼ばれており、小さな空間をいかに広々とさせて最新の機能を付けていくか、というところが、建築デザイナーや改装施工業者の腕の見せどころとなっているようです。

スペインはもちろん、パリやドイツなどでも昔のお屋敷の屋根裏を美しく改装した例が評判になっていたりします。こちらはまた、いくつか資料が集まったらそのうちまとめてご紹介したいと思います。

 

今後も、日本と違う面白そうな建築現場は、今後もこの「ガイア通信ブログ」と「ガイア通信(メルマガ)」でレポートしていく予定です。

こちらのブログでは、今後写真なども多めに載せていきますので、ご興味がありましたら引き続きお立ち寄りください!

 

次回のブログでは、今回のおまけ的になりますが、私がこちらで聞いたエピソード「ローマ遺跡の街づくり事情」という点をちょっとだけご紹介したいと思います。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。