人生100年とも言われる時代。定年退職後も年金以外の収入を確保することが必要とも言われます。体が元気なうちはアルバイトなどをして収入を増やすことも可能ですが、人によっては健康状態によってなかなかそうもいかないことも多いです。

そこで今から考えておきたい対策の一つが、労働収入以外の収入源、つまり不労所得の確保と言えるでしょう。

2024年1月からは新NISAが開始され、それで収入を得る方が増えています。

一方、現在住宅を持っている方が将来的に考えられる投資手法の一つに不動産投資があります。

不動産を買うお金などとてもないと考えられる方もいるかもしれません。しかしヤドカリ戦略という不動産投資の手法では、将来的に今の自分の家を貸し出して家賃収入を得ることも可能なのです。今回はそのヤドカリ戦略についてご説明させていただきます。

 

ヤドカリ戦略とは

まずヤドカリ戦略とはどのような不動産投資手法を指すのでしょうか。それはヤドカリのように住む家を定期的に変えていくことを指します。

ヤドカリ戦略では住宅ローンを使って住宅を購入し、そして住宅ローンを返済し終わったらまた新しい住宅を購入します。そして元々購入していた家は人に貸し出すのです。そうすることで家賃収入という、労働収入以外の収入を増やすことができるのです。

不動産投資用ローンで不動産物件を購入すると、一般的な投資用ローンは住宅ローンよりも金利が高めですので返済負担が重くなることもあります。そうすると空室が発生した時にローンが返済できなくなり、返済のために家を手放さざるを得ない事態に陥ってしまう可能性もゼロではありません。

しかしヤドカリ戦略の場合は長期的な視点に立って不動産投資を行うことで、返済負担が重いローンを借りることなく展開できる不動産投資の手法になっています。そのためリスクは一般的な不動産投資よりも低いです



ヤドカリ戦略のライフプラン

では具体的にヤドカリ戦略のプランとしてはどのようなものが考えられるでしょうか。例えば20代から不動産戦略を視野に入れて物件を購入した場合を挙げてみます。

 

20代前半、就職後に多少の貯金ができた時点で住宅ローンでワンルームマンションを購入します。ワンルームマンションは価格を抑えたものを購入し、できれば30歳前後に返済が終わるものを購入しましょう。都内でも数百万円のワンルームマンションはあるので、賃貸で借りていた場合、家賃を毎年100万円前後支払っているものと考えれば、年間100万円のローンも十分に返済は可能です。700万円ほどのワンルームマンションを買えば、8年ほどで完済できるでしょう。

そして返済が終わったらワンルームマンションよりも広めのものを購入します。例えば結婚した場合、お子さんが生まれることも視野に入れて2DKなどの物件を購入すると良いかもしれません。ここでも比較的短期での返済を目指します。結婚して数年はお子さんができることもないでしょうから夫婦共働きで全力でローンの返済をします。

また、1物件目を貸し出した家賃収入もあるので、その家賃収入を返済に加えることで繰り上げ返済も可能となってきます。

夫の収入と妻の収入、1物件目の家賃収入を返済に回せば、一般的な住宅ローンの返済ペースよりもかなり速いペースで返済が可能なのです。

 

そして2物件目のローンを返済し終わったら3物件目の購入に乗り出します。このときには40代前半になっていることでしょう。

その際には1物件目と2物件目という2つの不動産を持っているので、たとえ夫婦のどちらかにしか収入がなくても、片側の給与収入+2物件の収入を住宅ローン返済に回すことができます。

また、3物件目はゆっくり返したいというときは、1物件目と2物件目の家賃収入を生活費や教育費、レジャー代などに回して余裕のある生活を楽しむことも可能となってきます。

 

一方、20代からヤドカリ戦略を始めるのではなく、30前後でまず結婚してからヤドカリ戦略を始めることも考えられます。

その場合、夫婦二馬力で40代前半のうちにローンを返済し終え、子供部屋などが必要となってくる40代中盤にある程度大きな家に買い替えます。

そして定年までにローンを返済し終えれば、65歳の定年時に賃貸用物件と、自宅を持てます。

この場合60歳前後で購入する家は、ローンを組むのは難しい年齢なので、退職金などを使って夫婦2人に適した1LDKや2DKなど購入しやすい価格のマンションなどが良いでしょう。

 

このように柔軟な資産運用のプランを立てられるのが、ヤドカリ戦略の醍醐味と言えます。

 

またヤドカリ戦略には以下のようなメリットもあります。

 

金利の低い住宅ローンを使って資産を形成できる

 

不動産投資ローンは金利が上昇傾向にあり、2024年時点では年利3%以上も珍しくはありません。しかし不動産投資ローンではなく、住宅ローンであれば固定金利でもまだ1%台ですし、変動金利であれば0%台のものもあります。そのため毎月の返済金額を抑えることができるので、リスクを抑えて投資ができます。

 

住宅ローン控除が利用できる

 

ヤドカリ戦略は、住宅ローンで購入した物件をすぐに運用できるわけではありません。

あくまでも住宅ローンが返済し終えて抵当権がなくなった物件を投資物件として運用する方法です。

そのため、返済中は住宅ローン控除の利用が可能です。住宅ローン控除を利用すれば実質的な金利による支出は大きく下がるため、投資用ローンで物件を購入するよりもはるかにリスクを小さくできます。



家の資産価値を高く維持する方法

 

ヤドカリ戦略の一つのポイントは、住宅の価値を高く維持することです。家の価値を高く維持しておけば、ヤドカリ戦略だけではなく、将来的に家を売ってまた新しい夫婦用の住宅を買うときにも、高く売れやすいので、役立ってくれます。

そこで家の価値を高く維持するためのポイントをお伝えします。

 

住宅を丁寧に使うことを心がける

 

家の使い方は、住人の心がけ1つ次第で大きく変わってきます。水回りはこまめに掃除する、手の届く場所の防水塗装を行うなど、自分でできるポイントのクリーニングを自分で行うようにすれば、家の美観を長期間損ねることなく価値を高く維持することが可能となってきます。

 

リフォーム費用をきちんと区別して貯めておき必要な部分はしっかりとリフォームする

 

一方、個人でメンテナンスできる部分にはどうしても限界があります。専門的な技術を持たない方が無理にDIYをすると、手間やお金が余計にかかったり思ったような修繕ができなくなって、逆に家の美観を損ねることにつながってしまうこともあります。

そこでリフォームを見据えて、毎月例えば1万円などしっかりとお金を貯めておき、10年や20年など大規模な家の修繕が必要となった時にこそ、しっかりとリフォームができるようにしましょう。

リフォーム費用がかかると、損だと考える方もいるかもしれません。しかし手入れをしていない家は、例えば20年ぐらい住むとほぼ資産価値が0になってしまうこともあります。一方でしっかりとリフォームなどを行っておけば、そのまま住める住宅として、売却したり貸し出したりする時にも価値が認められます。その結果、買ったり住んだりしてくれる人も増えるのです。

戸建てはマンションのように管理費や修繕費が定期的に取られるわけではないので、ついついリフォーム費用を貯金しておかないこともあります。

しかし、例え戸建てに住んでいても家は住んでる以上経年劣化は避けられません。

リフォーム費用は貯めておき、10年〜15年に一度などの定期的なリフォームを行うようにしましょう。リフォームお問合せ

まとめ

ヤドカリ戦略は住宅ローンという低金利なローンを利用して始められる不動産投資です。ただし即座に物件運用を開始できるわけではなく、住宅ローンを返済し終えたら、返済が終わった物件を貸し出し、新しく住宅ローンを借りる投資手法です。そのため、実際に収入を得ることができるまでは10年、15年といった時間のかかる投資仕事となっています。

ただし返済リスクは投資用ローンより大きく抑えることができるので、老後のために不動産収入を得たいという方にこそ向いている投資手法だと言えます。

また、そのためには住宅を貸し出せるように、家の資産価値を維持しておく必要があります。家を丁寧に扱い、また、リフォーム費用をきちんと毎月貯めておくことで定期的な修繕を行い住宅の価値を高いまま維持しておくことを心がけましょう。