多くの人にとって無視できない不動産関連の問題の一つが相続でしょう。相続を巡って兄弟や親戚間で争いになることも増えており、スムーズに不動産の相続を行うにはどうすれば良いか頭を悩ませている人もいるかもしれません。

特に最近は日本人の高齢化により認知症を患う人も増えており、親が認知症になってしまったためスムーズに不動産を相続できなかったということも増えています。

そこで今回は不動産をスムーズに相続できない場合のデメリットや、その対策についてお話しさせていただきたいと思います。



親が認知症になると発生する相続の問題点

 

まず親が認知症になってしまうとどのような問題点が相続において発生するでしょうか。その点を見ていきたいと思います。

 

成人している人間の不動産を他人が勝手に処分することはできない

大前提として、成人している人間の不動産を子供とはいえ他人が勝手に処分することはできません。親が存命である以上、子供だからといってその不動産を処分する権利を得ることはできないのです。あくまで親が亡くなり相続し、不動産の所有権がはっきりした場合に不動産を売却したり、また家を建て替えたりする権利を有することができるのです。

仮に判断力がなくなった親の合意を無理やり取り付け不動産の売却などをすると、親族間の問題に発展する可能性が大いにありますし、他の兄弟や親族から訴訟される可能性も生まれてきます。

 

不動産がそのままになり空き家になってしまう

不動産をスムーズに相続して活用できないと、親が認知症になり老人ホームに入ったときに問題が生まれます。もし親が正しい判断力を持っていれば、もう家に戻ることはないので、住んでいた家を売却して生活費に充てることもできるでしょう。しかし認知症になってしまうと判断力も鈍り、売却をするべきかどうか決定することができなくなってしまうこともあります。

そうすると親が使っていた家は誰も使っていない空き家になってしまうのです。空き家になってしまうと、その家を親が存命している限りは子供が処分することはできませんし、親が亡くなった場合にその被相続人が何人かいる場合誰が相続するのかでもめてしまう可能性もあります。せっかくの不動産を空き家にしてしまうのはもったいありませんし、相続権がはっきりしないことで兄弟間の争いに発展してしまうのも悲しい話です。

そうならないために、親が痴呆症になる前にスムーズに不動産の相続をどうするのかを決めておく必要があると言えるでしょう。

 

資産が負債になってしまう

そして活用されない不動産は資産が負担になってしまいます。不動産は所有しているだけでも固定資産税などのランニングコストがかかります。また近年では空き家の増加を防ぐために、個人がきちんと自分の持っている不動産を管理しなければいけないという動きも出てきています。

管理義務を怠った場合罰則が設けられることもありますし、不動産を相続をした時に登記をきちんとしないとこちらも罰金が課せられる可能性があります。

つまりうまく活用すれば収益を得られる資産である不動産が、逆に負債になってしまうのです。使わないからといって不動産を放置しておくことは、ご自身の経済的な問題に発展する可能性も大いにあるのです。



親が認知症になった場合の対処法

ではもし親が認知症になってしまった場合、もしくは認知症の兆候が出てきた場合はどのようにすれば良いのでしょうか。

国でも認知症になってしまった本人を保護するために、いくつかの制度を用意しています。

 

任意後見制度を使う

任意後見制度は、本人が意思決定できるときに使える手段です。本人が指名で財産管理を委託する任意後見人を定めます。その任意後見人は不動産などの財産を売却することが可能になります。

ただし、本人がすでに痴呆症になってしまっている場合には任意後見人を指名できないこともあります。

 

家族信託制度を使う

家族内の受託者に財産を移転し、受託者が不動産などの財産を管理するという方法です。

その受託者の権利や権限は自由に決定できるので、家族内の信頼できる人間を受託者に選ぶことでスムーズな財産管理が可能となります。

 

認知症の気配がでてきた場合には、基本的には家庭裁判所などに相談して成年後見人を決めることになります。

成年後見人を定めるための費用はそれほどかかるものではありませんが、結局誰が成年後見人になるのかという点で揉めるケースも多々見られます。成年後見人制度を利用することには問題がありませんが、成年後見人をどのように決めていくかという点でなかなか頭を悩ませることがあるかもしれません。成年後見人の権利に関しては、民法7条や8条で定められています。

成年後見の制度は、物事の判断力(事理弁識能力)を失った人間を保護するためにあります。

そのため成年後見人は自身の利益ではなく、療養施設などに入る際には本人が健やかなる生活を送ることを目的として、物事を判断しなければいけません。

勝手に不動産を売却し住環境が変わってしまうことは本人の精神衛生状態に大きく左右すると民法でも定められているので、成年後見人の独断で決定できない事も覚えておきましょう。そのため本人が居住する不動産を成年後見人だからといって妥当性のない不動産売却はできません。家庭裁判所の判断を仰ぐ必要も出てきます。

 

不動産会社に相談する

成年後見人などの制度は、認知症になってしまった本人を保護し、本人が健やかな生活を送ることを目的としています。それだけに不動産の運用や処分については本人の意志に反することはできません。

そこで不動産を売却しないで運用するケースも増えてきます。その際にはどうぞ不動産会社の方にご相談ください。

 

不動産会社では不動産の相続問題についてもご相談を承っております。どのように相続する手順を踏めば良いのかということだけではなく、現在所有されている不動産についての活用法、例えば運用するのか売却するのかなどについてもご相談に乗ることが可能です。

プライベートな質問はきちんとお客様の秘密を守って対応させていただきます。一人では不安だ、逆に一人だけに任せるのは避けたいという場合は、ご親族揃っての相談に乗ることも可能です。不動産の相続をどうすれば良いのかわからないという方は、是非とも経験豊富な当社のスタッフにご相談ください。



まとめ

ご両親が認知症になってしまった場合、子供といえどその不動産を勝手に売却や処分することはできないため不動産の所有権が曖昧なままになってしまうこともあります。その結果不動産が空き家になり資産ではなく損失を生む負債となってしまうことも起こり得るのです。

そうすると誰も不動産の相続をしたいと思わなくなり、日本の社会問題となっている空き家の増加がますます進行してしまうかもしれません。

 

そうなってしまう前に是非とも相続不動産の扱いに慣れているスタッフまでご相談ください。

誠心誠意を持って相続におけるお客様の抱える不安や悩みの解決をお手伝いさせていただきます。

横浜市や川崎の不動産であれば、売却も運用も十分に可能であり不動産を負債ではなく資産として活用し、お客様の生活を支える糧とすることも可能です。

 

それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。  お問い合わせ・資料請求