すでに線が無い!?欧州の最先端キッチン設備をご紹介!
地中海の小さな町から、こんにちは。ガイアフィールドの、一番遠隔地からのリモート社員・森口と申します。
今年も、日本・欧州の不動産事情やトレンドなども交えた、ガイアフィールドならではのオリジナルな情報をお届けします。
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すでに線が無い!?欧州の最先端キッチン設備をご紹介!
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家電製品の性能向上はどんどん進んでいきますね。近年ではAIが組み込まれたスマート家電も人気です。
日本以外の国で暮らしてみて感じたのですが、それぞれの国の台所は、その国の料理の傾向や文化的背景などにも影響されて、日本とは違った設備や間取りになっています。
メルマガでは、私が感じた「キッチン」の日本とスペインの比較についてお話ししましたが、今回はそちらも含めた「欧州の最先端キッチン設備」をご紹介します!
■ 欧州のキッチン、流行の行方は?
日本でも「お掃除のしやすさでかなりポイントが高い」IHクッキングヒーターの出現、そしてそれと同時にレンジフードの進化のおかげで、これまでに無かったフラットなキッチン設計ができるようになりました。
以前の凹凸のあるガスコンロに比べて、ちょっとした汚れは拭くだけできれいになるIHクッキングヒーターへと発展した結果、キッチン周りの自由度もかなり上がってきました。
ちなみに「揚げ物」など油を使う料理が多い傾向のスペインでは、以前からキッチン(Cocina:コシナ)は、匂いや油汚れ防止のため、独立した一室であることが必須でした。一般的なスペインのマンションの間取りでは、「キッチン」と「バスルーム」の水回りを近くに配して、キッチンにはシンクとコンロ・オーブンが詰め込まれた小さいスペースを当て、それとは別に独立したダイニングルーム(Comedor:コメドール)がある、というのが昔ながらの間取りでした。
が、先ほどのコンロの進化によりコンパクト化され、更にコンロ・レンジフードのスタイルの自由度も増えたため、最近の人気があるスタイルは、リビングとダイニングにつながったオープンキッチンやアイランドキッチンとなり、家全体のスケルトン化が最近のモードのようです。
<レンジフードさえ隠された、統一感のあるキッチン家具にワクワクします!>
■ スペイン式キッチンの標準装備
オープンキッチン、アイランドキッチンなどの流行は、最近の日本にも入ってきています。
そして、「キッチン標準設備セット」が日本とスペインとではちょっと違ってきます。
日本の場合は、基本的に「水回りのあるシンク+魚焼き器の付いたコンロ」に、食器や食品などの「置き型」収納スペースが少しついたタイプが多いと思います。
一方のスペインでは、日本同様に「水回りのあるシンク+コンロ」に、備え付けのオーブンと食洗機、そして食糧庫(Despens:デスペンサ)があるのが標準的です。また、中にはキッチン部分に洗濯機や衣類乾燥機などの家電がシンク下にセットされている場合も多く見られます。
また、スペイン独特の設備としては、シンク上部分の棚に洗ったお皿を乾かしながら保管する食器棚(水切りの受け皿アリ)。これは洗った後も扉を締めれば見えなくなるので、いつもすっきりです!
スペインでは最近キッチンのの一角に「朝食専用のキャビネット(Desayunador)」が出現しました。これには、スペインの朝食は基本軽いため、各自でシリアルや菓子パン、コーヒーなど思い思いのものを自分で選ぶため、そうしたものをひとまとめにした家具の需要があるようです。
<オーブンが標準装備のスペインでは調理家電は埋め込み型です>
■ 縁も線も消えた!IHクッキングヒーターの進化形!
アメリカンスタイルとも呼べる「アイランドキッチン」は、欧州でも最近人気になってきました。
元々、スペインに限らず欧州の台所は、壁で覆われて独立した作業部屋でした。が、前述のように食生活やライフスタイルの変化、家電設備の進化によって、キッチンの意味が広がりました。作業場ではなく交流の場としての意味合いも出てきたのです。
特に最近注目を集めているのは「インビジブルキッチン(cocina invisible)」です。IHのコンロの枠線さえ無くなり、ほぼ木目のテーブルや大理石の天板と変わりないもので、一見すると「どこに火力リング(鍋を置く部分)があるのか」さえも分からないくらいフラットな造りとなりました。そのため、普段は調理台としても使えたりテーブルのようにして使うことも可能なので、リビングと一体型になっても凹凸が無くインテリアの邪魔をしないスタイリッシュなキッチンが実現できます。
<うっすらと円が書かれている場所が火力リングです!>
■ キッチンスペースのオープン化で、狭小リフォームが促進!
上記のように、キッチンがコンパクトで且つインテリアの邪魔をしないスタイルにできることから、昨今の古い物件のリフォームも促進されているようです。
特にスペインでは、古い物件に関しては間取りが部屋をそれぞれ細かく区切ったものだったり、水回りも狭く古いスタイルのため、実際に今住むとなるとかなり使いづらい物件です。昔ながらの壁によって仕切られて狭さを感じる物件だったり、今は使用用途が無い「召使部屋」等がまだ存在する物件も実は少なくありません。
そうした古物件を現代風にリフォームする際のキーポイントとして、この「インビジブルキッチン」が活かされているようです。
<黒い石造りっぽい天板にインビジブルコンロが。カウンター仕様もスマート>
■ 壊せる壁をすべて壊して・・・ビフォー&アフター!
壁に細かく仕切られた部屋に飾り天井、仕切りの間の小さなスペースを無理やり使った物置…と言うこちらの物件を、壁という壁をすべて取り壊し、キッチンをオープンにしてリビングとつなげて、窓の明かりを最大限取り入れた広々としたスペースづくりに成功しました。
この物件では以前は壁際の小部屋にキッチンがあったのですが、リフォーム後は玄関扉を開けてすぐの部屋の真ん中に配置されています。インビジブルスタイルでフラットなので、部屋の中央に置いてもリビングやそのほかのインテイリアの邪魔をせずに大変スマートです。何より、キッチンからリビングへの見通しが良いため、普段の食事や友人を招いた時の導線も想像できる楽しそうなイメージに、依頼主のオーナーは大変満足していました。
<小部屋のキッチンから、すっきりとしたオープンキッチンに!>
さて、今回は最近スペインで流行のリフォームサンプルと、今欧州で流行り始めた「インビジブルキッチン」についてお話してみました。
こちらのインビジブルキッチンの天板は、木目や大理石、モダンでアーティスティックなインパクトのあるデザインの樹脂っぽいものまで様々なモデルから選べました。こちらは私も実際にキッチンユニットのお店に見に行ったのですが、耐久性もしっかりとして上質感もありました。アイランドキッチンにした場合は、一部のカウンターをインビジブルコンロにするとカッコいいな~と妄想が広がりました!(笑)
スペインのマンション事情についてはこちらの記事でもお話しましたが、近日中にスペインでの「全壊しリフォームスタイル」についてもう少し詳しくお話してみたいと思っておりますので、またそちらも覗いていただければ嬉しいです。
今後も、欧州ならではのエピソードや欧州にかかわらず世界や日本の不動産関連・建築にかかわる情報を、ブログとメルマガで、引き続きレポートさせていただく予定です。こちらのブログでは写真など多めに載せていきますので、ご興味がありましたら是非引き続きお立ち寄りくださいませ。
それではまた、メルマガとブログでお会いできれば嬉しいです!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。