忘れた頃の災害対策!スペイン水害から見直す非常対策

 

地中海の小さな町から、こんにちは。ガイアフィールドの、一番遠隔地からのリモート社員・森口と申します。

今年も、日本・欧州の不動産事情やトレンドなども交えた、ガイアフィールドならではのオリジナルな情報をお届けします。

 

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忘れた頃の災害対策!スペイン水害から見直す非常対策

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スペインのテレビ局、rtveのHPより>

 

流れの急な川のように大通りを流れる泥水、その中に浮き沈みしながら流されていく自動車、そこから手を伸ばして助けを求めている人影…

 

既に日本でも断片的な映像と共に報道されていると思いますが、スペインでは10月末に降った大雨による洪水によってバレンシア地方に大きな被害が及びました。

この災害の報道がされた初日から、千人単位でスペイン国内からめいめいに手に自分のバケツやモップを持って人々がバレンシアに駆けつけました。そうした人たちが無償でボランティア活動を行っている様子も連日報道されていますが、あまりにも多くの人が集まったため「交通網に影響が出るので、一般の方はもう行かないでください!」と報道されています。

こうした情に厚いスペイン人らしい心温まるエピソードや博愛精神も多々語られています。でもその一方で、この災害に便乗して窃盗を働いた件で、実は100人以上の人が逮捕されていたりもしています。災害当初、地元の警察官は逃げ遅れた人やペットを確認したり救助したりしながら、こうした火事場泥棒も見つけては逮捕しなければいけなかったので、現地は大変混乱していました。まさにカオスがありました。

 

■ 想像ができなかった災害規模

 

これほどの大規模な大雨災害は予想がつかなかった、と言われています。ただ、これまで何かと後回しにされてきた治水工事などの遅れも、このバレンシアにおける大惨事の原因の一端とも言われています。(そのため、現在いたるるところで激しい政治的な批難も起こっています。)

大量の雨水により道路が川と化し、多くの車などが流されていく中、既に200人以上の人が亡くなっており、現在も行方不明者の捜索が続いているため、残念ながらこれからも増えそうな様子です。

今回の被害で亡くなれた方の例として挙げられたのは、大雨に対しての危機感があまりなかったために、「ちょっと外の様子を見てくる」「心配だから、地下の駐車場から車を出しに行ってくる」といった行動の途中で被害にあってしまった、という例も挙げられていました。

 

現地では10月の発生当時から復旧に尽力していますが、再び11月に大雨が降り、今度はバレンシアだけではなく、マラガを含むアンダルシア地方、そして地中海沿岸のカタルーニア地方にも、大雨洪水警報が出ました。

幸いこの第二弾の大雨に対しては早くから対策が取られ、高速道路の封鎖や学校の休校、出勤停止や外出禁止令などの「レッドアラーム」が出されたのですが、雨量や事前準備によって想定よりも少ない被害だったようですが、山合の村などでの被害は避けられませんでした。

 

<スペインの天気予報会社MeteoredのHPより>



■ 非常的備えが無いと、人は大パニックになる

 

今回の災害で、すぐに水や食料、薬や日用品などの物資不足が起こりました。

自家用車は流され、泥水に浸かってしまった店舗や自宅の惨状に絶望を感じながら、住民の多くは予期していなかった果てしの無い復旧作業に追われることになりました。

年配者にとっての不安は、日々の買い物もできず、病院にも行けないため持病の薬などが手に入らない、といった状況でした。近隣住民で助け合った美談もありましたが、住民の多くは強度の不安を感じていたようで、とにかくいろんな場所でヒステリックになっている様子なども頻繁に報道されていました。

実はすぐにスペイン国内からものすごい量の善意の救援物資が集まったのですが、当初配分する作業さえ対応できる窓口が無いまま自治体も住民も双方が大パニックに陥り、折角の物資が必要な場所へ届けられないという事態が起こっていました。

スペインでは、こうした予期しない災害に対しての準備や各家庭での普段からの備え、そして何より心の準備が少なかったため、こうしたことが起こったのかもしれないという印象を受けました。

こうしたパニックはフラストレーションや怒りとなり、バレンシアの現地を慰問に訪れた首相や国王・王妃に対してまで向けられ、現地で暴徒が攻撃している様子が全世界にも報道されました。

 

■ バレンシアの大惨事から考えた、大洪水の際に備えたい準備

 

<いろいろな災害に対応するのは大変!>

 

日本は台風などの自然災害や近年の震災の影響もあって、天災などの非常事態に対する危機意識と防災対策が「各家庭レベルまで」広まっている、大変稀有な国かもしれません。

各家庭の備蓄や非常用準備の重要性なども、スペインと比べると段違いです。(比べてはいけないとは思いますが…)

バレンシアの様子を見ながら、私も我が家の非常用準備を改めて見直そうと思いました。

 

今回私が重要性を感じたのは、「」、「非常食」、「電力源」です。

 

「薬」に関しては、常備薬はもちろん、ケガなどへの対応ができるようにもう少し充実させようと思いました。

実は大雨による氾濫は、土砂だけではなく街の様々なものを含んでしまいかなり汚染されていました。そのため、救助探索活動を行う消防士や救助犬が本当に苦労されている様子が報道されていました。また復旧作業を行う中で傷を負ってしまうケース等も紹介されていたので、「非常事態に遭遇する外傷」に対応できるようにしよう!と思いました。

 

「非常食」に関してですが、実はスペインでは見たことがありません。

そのため、普段よく使う缶詰などを中心に、パントリーの備蓄がそのまま我が家の非常食、という形で考えていました。

今回のバレンシアでは、電気も落ちて復旧にかなり時間がかかってしまったため「食べ物が無い」という家庭も多かったと聞きました。そういった最悪の状況でもとりあえず口に入れられるもの、と言った視点からの非常食の構成を考えようと改めました。取り急ぎ、缶詰を中心に乾物や簡単に食べられるものをもう少し充実させるつもりです。

 

そして、「電力源」についてですが、今回の件でスペインではこうした事態では電気が落ちて、復旧までに時間がかかることが分かりました。なので少量でも蓄電できるものを備えていくことを今後検討したいと考えています。

日本は電気が一番復旧が早いと言われていますが、日本の状況では蓄電ができる自宅のソーラー発電設備が有効そうだなと感じました。(こちらの記事で調べたことが、実は今スペインに住む状況でも大変興味が出てきています。)

 

■ 日本はやっぱりすごい!

 

防災対策や緊急時の対応ルーティンの徹底など、改めて見てみると本当に日本の緊急時対応は素晴らしいな、というのが正直な感想です。スペイン在住な以上、こちらで可能な限りの準備をしていこうと「非常用の持ち出しリュック」を作ることにしました。日本で思いつく便利なもの(カイロや保存に優れた非常時対応商品など)をこちらで見つけることは難しいですが、スペインでも対応できるような物をこれから集めていきたいと思います。

 

川崎市の梶ヶ谷を拠点とする弊社ですが、今後も欧州ならではのエピソードや欧州にかかわらず世界や日本の不動産関連・建築にかかわる情報を、こちらのブログとメルマガで、引き続きレポートさせていただく予定です。こちらのブログでは写真など多めに載せていきますので、ご興味がありましたら是非引き続きお立ち寄りくださいませ。

 

それではまた、メルマガとブログでお会いできれば嬉しいです!

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。